所属判定問題を解くBloomFilter
これは30日チャレンジの15日目(2019/09/23)に書かれた文章です
「ある要素が集合に含まれているか否かを判定する」問題(以下、所属判定問題)が与えられたとき、どのような実装を考えるだろうか。 素朴な方法として「集合に含まれる要素を走査して判定する」方法が考えられるが、これは時間必要なため効率的だとは言えない。 本文では所属判定問題に対するひとつの解として、確率的データ構造BloomFilterをみていく。
なお、本文章で説明するBloomFilterをgolangで実装したのでコードと見比べてて読みすすめると理解が捗るかもしれない。
A BloomFilter implementation · GitHub
まずはじめに、確率的データ構造とは一体何を指すのだろうか。
確率的データ構造を一言で説明すれば「ある確率で期待しない結果を生じるが、確率的でないデータ構造に比べて圧倒的に効率が良いデータ構造」である。 BloomFilterの場合では「偽陽性の誤検出の可能性をもつ所属判定問題の効率の良い解法」と解釈できる。
BloomFilterの実体は初期値0をもつビットから成るビット配列と、個のハッシュ関数だ(ビット配列だけを指してBloomFilterとする場合もある。) ハッシュ関数はすべてビット配列の個のインデックスを値域としてもつ。 要素をフィルターに登録する場合には、個のハッシュ関数にを与え、得られた値に相当するビットを1に変更する。 ある要素とハッシュ関数の組み合わせが偶然にも他の組み合わせと同じ位置を出力し、複数の関数によってビット値が変更される場合もある。 その場合にはとくに特別な処理は行わず、当該位置のビットを1に変更する。
所属判定問題を解く場合には、予め集合のすべての要素をBloomFilterに登録しビット配列を得ておく。 判定時には個のハッシュ関数に対して順にを計算し、該当する位置のビットが0か1かを確認する。 ひとつでもビットが0となるハッシュ関数が見つかれば、その要素は本当に集合に含まれていない。 逆にすべてのハッシュ関数においての位置のビットが1であった場合、偽陽性を含んでいるものの、妥当な確率で所属判定問題を正解することができる。
ref.wikiで掲載している図が分かりやすい - https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%BF
直感的にも理論的にも、フィルタの目が細かい(が大きい)ほうが偽陽性を抑えることができると分かっている。 あるいは、当たり前ではあるが、登録データ数が増えるほどハッシュ関数の衝突確率も高まるため、偽陽性を高める要因になる。 具体的な偽陽性に関する理論解析はインターネット上でも確認できる。
非常に素朴で簡単なアルゴリズムでありながら、利用例は多岐にわたる。 有名なところではBitcoinのトランザクションフィルタリングでも利用されているようだ。